2015年11月28日土曜日

ダウンサスとラジコンとストローク

ダウンサスというものがついたクルマを所有したのは初めてなわけですが。
では、ワタクシのカプチーノの勇姿をご覧頂きましょう。


低いですね?
先ほど、マフラーの一番下の部分をメジャーで測ってみましたが、車検ギリギリの9cmでした。
ノーマル車高は13.5cmらしいので、およそ5cmほど下がっていることになります。

つまり、ノーマル状態より、縮み側のストロークが5cm「も」少ないことになります。

車高調のショックを付けてこの状態なら問題ないと思いますが。

ノーマルショックにダウンサスを組み合わせるということは、そういうことです。
ショックの縮み側のストロークを減らしてしまうことになります。
逆に伸び側に5cmほど余裕が出ることになりますが。

基本的に、サスペンションの役割として、ショック(ショックアブソーバー)は、サスペンションの動く速度を規制します。
減衰力というもので、その動きの速さを調整するわけです。
一方でダウンサスと呼ばれるものの多くは、単なる「バネ」です。
このバネが、路面のギャップの吸収やロール量などのサスペンションの動きそのものを決定します。
車高が決まるのも、このバネの長さです。
バネにはバネレートというものが設定されており、固さにより、実際のギャップの吸収力や速度に対するロール量などが決まります。

ちなみに。
これはラジコンでも基本同じで、ミニッツのような3Pサスの場合はともかく、1/10のようなダブルウィッシュボーンのサスペンションの場合には、同じようにショックとスプリングにより、足回りの挙動を決定します。
まあ、1/10のラジコンの場合、ショックの長さはわりと長めに取って、車体側でダウンストップスクリューなる代物で伸び側の量を規制することもありますが。

ラジコンの場合、ほとんどレーシングカーのセッティングなので、かなりガチガチに足回りは固めてあり、ロール量も少なめで、むしろタイヤを滑られせて曲がります。
これはタイヤのグリップが実車と比較してあまりに低いために、そうせざるを得ないのですが、たまに鬼グリップのサーキットなんかに行くと、ロール量少なめだと、インリフトして、そのままひっくり返ることも珍しくありません。
これは1/10でのツーリングクラスの話ですが、Mシャーシの場合は、それほど微調整が効く足回りではなかった時期がありまして、色々と苦労をしました。
例えば、サスペンション周りのショックとスプリングですが、Mシャーシというのはツーリングの1カテゴリではありますが、車体サイズが一回り小さく、また速度域も高くないため、入門向けと思われがちなのですが、実は殆どのMシャーシが2WD(FFかMR)のため、1/10のツーリング(4WD)よりも、かなりセッティングはシビアであり、ドライブにも注意が必要です。
#サーボにハイパワーなものを使うとサーボのパワーにシャーシが負けるとか、変なノウハウがあったりしました。まあ、いまのMシャーシは大丈夫ですけど。ステアリング周りがアルミパーツで強化出来るので。

で、ショック関連はツーリングと共通部品だった頃があり、それでかなり苦労をしたことがあります。
ツーリングは車体のサイズが大きいため、サスペンションアームも長く、そのため、ショック全長は長めに作られていました。もちろん、その中に収まるピストンロッドも長いです。
ちなみにラジコンでよく用いられているショックアブソーバーはオイル式のもので、オイルダンパーと呼ばれています。
シリンダーの中に入れるオイルの固さと、その中を移動するピストンロッドの端に付けられたパーツの穴の数や大きさで減衰力を調整するのです。
大まかな減衰力調整は穴の数、微調整はオイルの固さ、でしょうかね。
#というかオイル交換の方が簡単なので、ピストンの穴の数は決定してしまって、オイルで調整が一般的だった。
なお、タミヤ製の場合、ダイアフラム式オイルダンパーで、ダンパーのてっぺんにダイアフラムというゴム部品が入っており、その中の空気が縮む時は空気を押す形となり抵抗となるため、縮み側に強く、逆に延びる時には空気が押し返すので、延びるのが速い、という特徴があります。
まあ、この辺の空気の量をどうする?とかもセッティングのひとつなんですが、まあ、今は重要なのはそこではないので、置いときます。

このツーリング用のショックをMシャーシに搭載しようとすると、どうしてもショック本体が大きくなってしまい、ストロークが合わないんです。
実は、Mシャーシ専用のプラスチック製のオイルダンパーも出ていました。
しかし、この製品を使うと、微妙な調整が出来ないんです。
樹脂部品ということもあるとは思いますが、オイル漏れ等もありますし。
なので、アルミ製のTRFダンパーを使用したい、となります。
スプリングは実はショートスプリングとノーマルスプリングがツーリング用に用意されており、こちらもバネレートがショートとノーマルで若干異なるため、ロール量の調整などのために使い分けていました。
Mシャーシの場合にはショートスプリングを使用すると、車高調整はピッタリハマります。
しかし、ダンパー自体が長いため、ふつーに使うと縮み側のストロークが足りず、伸び側のみ大きく取られることになります。
この伸び側のことをラジコンではリバウンド量というのですが、ツーリングの場合にはダウンストップスクリューなどで規制できるリバウンドもMシャーシでは、そんな立派なものが付いているはずもなく、仕方なくピストンロッドにOリングを通すことで、そもそも伸び側のストロークの規制を行っていました。
結果、何が起きるかというと。
ストロークしないショックが出来上がります。
立派なオイルダンパーを使用しているのに、伸び側も縮み側もストロークが不足する状態になるのです。
元々駆動方式で劣るMシャーシにさらにツライショックが付くので、なおさら走りは厳しいものとなります。
2駆なので、ある程度ロール量を稼いでグリップさせたいのですが、縮み側はすずに底づきしますし、伸び側を規制しないと、アウト側が底づきしたタイミングでイン側が伸びてしまって転倒するのです。
その後、ショートボディのTRFダンパーが発売され、ダウンストップスクリューはないものの、縮み側に充分なストロークが取れるようになったため、セッティングの幅は広がりましたが、それまではかなりツライ状況でした。

というワタクシのラジコンの経験と知識を元に言わせてもらうならば。

「ダウンサスに性能を求めるな」

の一言に尽きます。

ダウンサスは「カッコだけ」のものです。
特にノーマルショックと組み合わせる場合、先に述べた通り、縮み側のストロークを食ってしまって、伸び側に余計なストロークが増えます。
結果として、コーナーではイン側が延びるため、FRの場合は、リアが踏ん張りません。
#LSD入ってるなら解からんけど、ふつーのデフだったら、インリフトに近い状態だと駆動掛からんからな。トラクションの抜けたクルマほどコーナーで恐いものはないぞー

また、縮み側のストロークが減っているということは、そのまま路面状況から来る突き上げを吸収する力も弱まっています。
何を意味するかというと。

「乗心地が悪化」

します。

さらに言うなら、ダウンサスをポン付けすると、例えばダブルウィッシュボーンやマルチリンクサスの場合には、キャンバーが変化しますし、トーインやトーアウトなどにも影響が出ます。
#車高が下がるということは、すなわち、サスペンションが常に縮み方向にストロークしているのと同じということだし。
その結果。

「タイヤが片減り」

します。

純正状態の適正な空気圧を保っているならば、ネガキャンがついてしまうことで、タイヤの内側だけが減ってしまいますし、その状態ということは、タイヤの接地面積が減っている可能性があるので、グリップ低下の恐れもあります。

もちろん。
クルマは長期に渡って乗るものですし、純正スプリングだってヘタって車高が落ちます。
2cmくらいならふつーに落ちると思います。
#10年くらい乗るとな。
メーカーもその程度のことは考えていると思うので、そのくらいの車高ダウンなら、調整の範囲内ではないかとも思いますが。

5cmダウンとか、もはやそれはメーカーの意図を超えていると思うのです。
まあ、きちんとアライメントを取れれば問題は少なくなるかも知れませんが。
ポン付けはオススメできませんね。
ショックも純正ショックにダウンサスだけ、というのは如何なものかと。

社外品で、ショートストロークのショックが売っていることがありますので、車高を下げるなら合わせてショートストロークのショックに変えて、きちんとストロークを確保するのがよいやり方ではないかとワタクシは思います。

サーキットを走るためでないなら、車高調までは要らんと思いますしね。
サーキット走る、あるいは競技に出るなら路面状況などから、日毎に車高を調整して、参加する必要があると思いますけど。
車高変えるとアライメントも合わせないとならんから、その辺手早くやれるひと限定の話になるのかも知れませんけどね。

ま、なんでこんなことを長々と書いているかというと。

ワタクシのカプチーノが、すでに述べている通りに純正ショックにダウンサスという組み合わせで、羽山自動車さんでアライメントはきちんと調整して貰ってますが、乗心地と、コーナーでの変な挙動が目立つからです。

カッコはいいと思いますよ?ワタクシも。
車高は低いほうが。
自転車乗ってる生足JKの太ももも見えますしね?

ただ、言ってしまえば、そこまでなのです。
カッコ以上のものはありません。

よく、「タイヤハウスとタイヤの隙間がー」なんて話も耳にしますが、ある程度サス周りがヘタってきてもロールした時に干渉しないように作られているんでしょうし、止まってる姿だけ見て、隙間を気にしても仕方ないような気がするんですけどね。

とはいえ。
カッコが重要なのも事実ではありますし、他人のコダワリにまでケチを付ける気はありません。
ワタクシの知識と経験から、ダウンサスとノーマルショックの組み合わせは性能を求めるためのものではないよなぁ、という与太話です。

そんじゃまあ、また次回。

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